ダメさの原点

体温をはかった記憶の中で、一番古いもの、というのが俺には明確にある。

何きっかけかは覚えていないが、とにかく、親に体温をはからせられて、俺は、その時の自分の体温が判明することに何故かめちゃめちゃ怯えて、体温計をワキに挟むことを拒否していた。

「自分で測る!」と言って体温計を親から奪って離れ、体温の相場も知らなかったので、「もうはかったから!24度!だった!」などと言っていた。

いったい、何に恐れているのか全くわからないし、切り抜け方も一切の利発さを欠いている。

この一連の営みは、自分の精神構造のダメさの核心に根ざしたものであり、原点だと今は考えている。